スーダン

スーダン 砂漠の民
 
私は南アフリカのヨハネスブルグにオフィスを構えるジャパンアフリカトラベルで撮影コーディネーターとして働いています。撮影コーディネーターという職業柄、アフリカ中を広範囲に渡って旅しています。
今回は今年の夏に行ったスーダンについて書きたいと思います。何かと治安が安定しない2011年に分離独立した南スーダンではなく、スーダン共和国の方です。
国土の約30%が砂漠であるスーダンにはヌビア砂漠、バユーダ砂漠、リビア砂漠と3つの砂漠エリアがあります。リビア砂漠はエジプトでは西方砂漠と呼ばれ、サハラ砂漠の一部を成しています。またスーダンは約500近くの民族が存在する、非常に多様な文化を持った国です。
その中でも、スーダン国土の中心付近に広がるバユーダ砂漠に多く生活しているハサニア族という遊牧民の家族に密着してきました。
首都ハルツームからナイル川沿いを北上し、途中から川沿いを離れ、道なき道を四輪駆動でほぼ1日ひた走り、家族の元へたどり着きました。
遊牧民といっても、一昔前から乾燥したアカシア系の丈夫な木を使った家のような建物を建てて、一ヶ所に定住しています。といっても、建物の周りには他の家はなく、ただただ砂や岩そして少し葉を生やした木々があるだけ・・・本当に途方も無いような気持ちにさせられる環境です。
定住はしているものの現在でもラクダ、ヤギ、羊などの家畜は放牧して育てているので、家族の中の男性がラクダに乗って、あちこちに散らばっている家畜を見守りながら生活しています。
撮影をさせてもらった家族では、放牧担当の次男がラクダに乗って家畜の居場所を探し、元気に草を食べているか見守りに行くと1ヶ月は家に戻らないんです。
一晩だけ家に戻ってきて、また1ヶ月分の食材、飲み物のコーヒー・紅茶と簡単な調理器具をラクダに詰んで出発した彼を見送った時は、まるで映画のワンシーンを観ているようでした。
こんな砂漠の生活では、水道はもちろん無いので6kmほど離れた井戸または雨水が自然に溜まる池のような場所まで水汲みに行きます。
その6kmの距離を行くのも、日中の気温46度近くまであがり、日が照りつけ、乾燥した熱風が吹きすさぶ中、ロバに乗ったり歩いたりしながら自力で行くしかありません。なのでその進みはとってもゆっくりで(じゃなきゃ倒れてしまいそうな状況)、井戸に辿り着くのに約2時間かかりました。
先代のハサニア族の人々が作った井戸には今でも多くの砂漠に住む人々が水汲みに集まってきます。それは皆が近況や水のある場所の情報を交換する大切な時間なのです。
そしてこの井戸から汲んできた水で、頻繁にコーヒーや紅茶を飲みます。またお客さんが来ると、こういった飲み物を提供するのがおもてなしです。
濃ゆーく入れたコーヒーや紅茶を小さなカップに注ぎ、たっぷりの砂糖を入れて飲むのがスーダン流。
このスーダン流のティータイムは、首都ハルツームでも至るところいるティーレディーの元で楽しむことができます。
最後に、現地スーダン人がよく口にするアラビア語の表現で「Inshallah(インシャーラ)」というのがあるのですが、これは「神が望むなら」と言ったような意味で、何かにつけてスーダン人が会話で使っていることを耳にすることができます。
話を聞いていると「たぶんね」「そうだと良いね」「そうなると思うよ」的なニュアンスで使われたりしています。
スーダンに行った際には使ってみてはどうでしょうか。
スーダンに関する更なる詳しい情報はジャパンアフリカ(http://www.japanafrica.jp/)までお問い合わせ下さい。